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2016年1月1日
ネットワークやサーバ導入時に「フェイルオーバー」機能という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、正しい意味やメリットなどを把握されていない方も多くいらっしゃることでしょう。
今回はフェイルオーバーが一体どんなものなのか、どういったメリットやデメリットがあるのかを詳しく紹介します。
目次
「フェイルオーバー」とは、障害(Fail)発生時に待機系に切り替わる(Over)機能のことを指します。基幹システムのサーバや基幹ネットワークなどのミッションクリティカルなITインフラ機器に実装し、障害時の停止時間を最小化する際に有効的です。
フェイルオーバーは主系と待機系の2台の機器で構成されており、通常は主系で稼働しています。主系機器が障害となった場合、待機系機器に自動で切り替わるように設定されているので、トラブルがあった際も継続稼働させることが可能です。
障害を自動検知し自動で切り替わる機能をフェイルオーバーと呼びますが、主系、待機系の2台で構成されていても手動で切り替える構成の場合はフェイルオーバーではありません。主系と待機系の2台を手動で切り替える場合は、「スイッチオーバー」と呼びます。
また、フェイルオーバーは待機系の電源を入れておく必要があるのに対し、スイッチオーバーは障害時に人の手で電源を入れて切り替える仕組みです。
このことからフェイルオーバーを「ホットスタンバイ」、スイッチオーバーを「コールドスタンバイ」と呼ぶこともあります。
よく似た言葉で「フェイルセーフ」や「フェイルバック」などがあります。
障害発生時(Fail)において働く機能という意味では同じなのですが、フェイルオーバーとは全く異なる動きです。
フェイルセーフは問題発生時に安全に停止させる機能のことを指し、フェイルバックは障害時に待機系に切り替わった機器を主系に切り戻すことを指しています。そして、 同じ「フェイル」がつく言葉は障害時の動作を表す機能をさすことが多いです。
よく似ている単語ですが動作は全く異なります。
フェイルオーバーとは切り替わり後も全く同じ機能や能力を維持できるように設定されています。
一方で、一部機能のみや処理能力を落として稼働する縮退運転構成は含まれません。
この縮退運転機能はフォールバックと呼ばれます。
事例としては、サーバのvSAN機能やCisco社のStackWise機能などがあります。
フェイルオーバーの導入検討を行う上で、メリット・デメリットを正しく把握することが大切です。
フェイルオーバーのメリットは障害発生時の停止時間を短時間に抑えることができる点です。
障害を自動検知し人の手を介さずに切替を行えるため、短い停止時間で稼働を維持することができます。
デメリットは高額なコストがかかる点でしょう。
自動で切り替えができる機能が搭載されているので導入費が高くなり、また主系と待機系の2台の機器の準備も必要となります。
自動で切り替えが行われるという意味ではフォールバックも同じく高額な費用がかります。
しかし、1部の機能や能力だけを維持するフォールバックに対し、全く同じ機能・能力を維持するフェイルオーバーはより費用がかかるケースが多いです。
導入することでリスク回避が図れる半面、フェイルオーバーの導入は多額の費用を必要とします。社内導入時にどのような点に気を付ければよいのでしょうか。
優れた緊急時用の機能とはいえ、必要ないのに導入することは費用の無駄遣いともなりかねません。さらにシステム全体で正しく機能するように準備することも重要でしょう。
ここからは導入時に検討すべきポイントを3点お伝えします。
社内に導入することでメリットを生かすことができるのかを確認しましょう。すべての箇所にフェイルオーバー構成にすれば堅牢な仕組になりますが、その分費用は高額になってしまいます。
・即時復旧が必要か?
・障害時、全機能・能力を維持しないといけない仕組みか?
・人の手で復旧するのでは間に合わないのか?
などの要件を元に機能要件を整理し、「フェイルオーバーでなくてはならないのか?」ということを確認することが必要です。
フェイルオーバー機能がどのようなケースで上手く働くのかを明確化し、関係者で共有することも必要です。
フェイルオーバーが必要でない場合もあるので、状況を考えるとよいでしょう。
下記のように、状況に合わせたシステムの導入を考えることが大切です。
・停止許容時間が4時間以内の全社サーバ:フェイルオーバー
・停止許容時間が4時間以内の部門サーバ:フォールバック
・それ以外:スイッチオーバ―(4時間以上であればベンダー保守で切り替え可能)
どんな状況に何がふさわしいかを明確にし、用途に合った選択をするようにすることが重要です。
導入時によくあることですが、全体を見据えた設計をしないと導入の意味がなくなる場合もあります。
例えば下記のような例です。
・サーバはフェイルオーバーとなっているがネットワークはシングル構成
・ネットワークとサーバを別々で設計した結果、フェイルオーバーが機能しない
共にシステム全体を見ずに設計したことが原因でフェイルオーバーが機能しないケースです。
フェイルオーバー機能はネットワークやサーバだけで設計することは難しく、全体を見据えた設計が必要ですので注意が必要といえるでしょう。
フェイルオーバーが機能すれば、万が一の場合にシステムを止めなくて済むというリスクマネジメントは可能です。しかし、運用するケースに応じてフェイルオーバーとは別機能が必要になる場合もあります。
導入の際には、状況に応じた運用ができるように見極めてくださいね。
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