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2016年2月11日
近年、テレワークやリモートワークが増えてきたことでにわかに注目されているのが、電子契約です。ところが、今までの慣習の中にいると、慣れずに戸惑いを覚えている人もいるかもしれません。そこで、流れに乗り遅れないように、今注目される電子契約のメリット、デメリットをご紹介します。
目次
古くから日本で契約時に重要とされてきたのは、印鑑でした。これは、欧米が直筆署名を重視するのとは違うものです。
この慣習に慣れてきた日本人にとって、紙と印鑑で交わさない、その上、契約相手と直接会わないこともある「電子契約」というものを受け入れられない人がいるかもしれません。
しかし、時代の流れとして世の中は印鑑を廃止し、電子契約書への移行を始めています。そこで、電子契約とはどのようなものかをご紹介します。
「電子契約を結びましょう」と言われても、初めてのことなら戸惑う人も多いのではないでしょうか。
電子契約とは、お互いのパソコンなどを介してネット上で契約を結ぶことをいいます。今まで紙を目の前にしてお互いに印鑑をつき、納得して握手をしていた光景をパソコンの前で瞬時に終えてしまうのが電子契約です。
ただし、ワードで作った書類を相手にメール送信して「宜しく願いします」というものではありません。「電子署名法」「e-文書法」「電子帳簿保存法」などの法律に基づき契約が行われます。電子契約を採用する場合、電子契約書のプラットフォームを提供する会社を介しての契約となるでしょう。
従来は紙の契約書を作成し、署名と押印をして契約成立というスタイルでした。しかし、電子契約ではこの紙の契約書が存在しません。
「紙がなければ、押印もサインもない。どのような契約となるのか」と不安になる人も多いでしょう。
押印の代わりは「電子署名」、紙の契約書の代わりは「電子文書」となります。電子署名された電子文書をクラウドサーバーや自社のサーバーに保管することで紙の契約書の代わりとなるのです。
ところが、電子署名は偽造や改ざんがされるのではないかという心配が出てきます。偽造や改ざんが行われていないと証明する手段は、電子署名とともに発行されるタイムスタンプと電子証明書の二つです。電子証明書とは、印鑑証明書と同様のもので、その人がどこの誰なのかを証明するものとなります。
物事にはどのようなものにも、メリットとデメリットが存在します。そこで、電子契約を取り入れる場合のメリットとデメリットをご紹介します。
■管理スペースの減少
契約書などは、税法上7年間の保管が義務づけられています。そのため、従来からある紙の契約書の場合は保管スペースが必要でした。一方、契約書をデータ化すれば、保管場所の確保をせずにすみます。
■実務面の負担軽減や効率化
・倉庫の管理や整理をする人員の削減
・書類を探し出すときの手軽さ
・契約書作成に関する負担の軽減
・取引先へ書類を持参せずにすむ
契約書の作成の簡便さと相手先との日時を合わせての契約式が不要になるため、スピーディーに契約締結を行えます。
■実利面での負担軽減
・収入印紙の貼付が不要
・紙代、インク、郵送代などの経費の削減
・改ざん、紛失を防止
電子契約では、収入印紙の貼付が不要です。紙の契約書は倉庫に保管していることも多く、知らぬ間に紛失や改ざんがあっても気づきにくくなります。一方、電子契約は高いセキュリティに守られた場所へ保管するため、容易に改ざんが行われにくく、紛失へのリスクも低減できるのです。
■セキュリティ面の不安
電子契約書は、クラウドやサーバーに保管されるものです。そのため、サーバーが攻撃されたり、データが消えたりという心配があるでしょう。そのため、セキュリティが万全なサービス提供会社を選ぶことが重要となります。
■取引先の理解を得られないこともある
2018年の(一財)日本情報経済社会推進協会の調査によると、電子契約の普及率は43.1%でした。その後、普及率は上がっているかもしれませんが、まだ以前の契約体制を継続している会社も多いのが現状です。契約は、自社だけでできるものではなく、取引先の意向もあります。そのため、理解を得るためのハードルが高くなる可能性があるでしょう。
■法律上電子契約できないものもある
不動産関係を中心に、紙の書類での契約締結が義務づけられている分野もあります。
■社内できちんと周知させる
自社が電子契約を導入することになった場合も、きちんとした道筋を立てて全社員に向けた説明をするところから始めます。いつの契約から電子契約となるのか、どのように作るのか、相手にどう説明するのかなど、会社で統一しておく必要があるでしょう。
緊急でテレワークをしなければならない社会情勢になるなど、最近では企業同士や会社とテレワーク者との間でも電子契約で済ませる流れができつつあります。これは、電子契約を進めなければ業務が滞ることから起こったことです。
電子契約の流れは仕事に関わるところだけではなく、個人での契約でも始まっています。例えば、住宅ローン締結において、窓口での契約より電子契約ですませたほうが金利や手数料が優遇されるのです。
これにはマイナンバーカードが必要になるためハードルは上がりますが、電子契約により個人にも利点が生まれています。
利用するかしないかの大きな点は、従来の日本での印鑑文化をやめてしまうことへの心理的な壁をどう払しょくするかに掛かっているのかもしれません。
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